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一理に達すれば万法に通ず

絵本の蔵書(その2) 「ウイリーはとくべつ」他

2021/02/05 09:00 イベント お買い物 子ども 趣味 くらし 家族

作・絵: ノーマン・ロックウェル 訳: 谷川 俊太郎 紀伊国屋書店 



 ノーマン・ロックウェルは絵本作家というより米国の有名な画家・イラストレーターです。このリアリズムと描写、独特のデフォルメは私の好きな日本の大御所イラストレーター、故・生頼範義の画風にも通じるものがあります。

 ポケットサイズの小さな画集を30年くらい持っています。オリジナルサイズの画集は買えないので、中古の絵本で我慢。でも「ウイリーはとくべつ」も素晴らしい。

 「ウイリーはとくべつ」。

 父と母、三匹の兄弟の中でとくに変わっていたツグミのウィリーは、ある日フルートを吹くポリーさんと出会う。ウィリーの音楽的な才能に目を見張った鳥類学会は、彼を鳥類園の雑多な鳥たちと住まわせることを提案した。

 ウィリーの才能は広く人々に知らしめるべきだと考えたポリーさんは、ウィリーを鳥類園に連れて行くことにしますが…


 保守的な社会は人を皆同じ型に押し込めようとします。枠に収まらない人間は落ちこぼれの落伍者の烙印を押され除け者にされます。

 しかし彼らに驚くべき才能があると見るや、本人の意志に関係なく表舞台に引っ張り出し見世物にしたがる。

 お金があるに越したことはありませんが、芸能人やユーチューバーになりたがる人たちの気持ちは、未だにさっぱり分からない。才能もあったら嬉しいですが、自分自身は目立つ存在になりたくない。


ペーテルとペトラ

作:アストリッド・リンドグレーン 絵:クリスティーナ・ディーグマン 訳:大塚 勇三


 ある日,小学校1年生の教室に,小人の兄妹ペーテルとペトラがたずねてきました.読み書きを習いたいという二人のために,教室には小さな机と腰かけと洋服かけが用意されました.(岩波書店)


 この物語のテーマは優しさと思いやりです。

 本の中の世界では、人を見かけや文化で選り分けたりはしません。古い絵本ですが、今の大人の大半はこういった子供向けの書籍に書いてあるテーマさえ理解しておらず、子供を教育できません。一体誰のせいなのでしょうか。

 現在の日本には優しさと思いやりが足らない。そこへ至るまでの経過を自分も生きて来たのでなんとなく分かりますが、人は物質的に豊かになると心は貧しくなる。

 貧しくして怨むこと無きは難く、富みて驕ること無きは易し(論語・憲問第十四)…この教訓は世の中がそうでないから皮肉っています。数千年も前から。

 毎日次々と新しい事故や事件、社会問題を耳にしますが、そのほとんどは優しさと思いやりがあれば解決するものです。

 しかし家庭でも学校でも、子供には優しさと思いやりよりも学業を求めます。なぜなら社会では学歴が高いほど良く見られるからです。

 絵本は大人が読むべきかも知れませんね。

 「ペーテルとペトラ」の物語が終わる理由は、たぶんメアリー・ノートンの「床下の小人たち」と「小人の冒険シリーズ」を読めば理解できると思います。


わたしのきもちをきいて 1.家出

作・絵: ガブリエル・バンサン 訳: もり ひさし


 忙しすぎて子どもと話す時間もない両親に、いつも寂しい思いをしている少女。ある日、家を出ることを決意し、森へむかいますが……。多感な少女の微妙な心のうごきを見事にとらえた秀作。(BL出版)


わたしのきもちをきいて 2.手紙

作・絵:ガブリエル・バンサン 訳:もり ひさし


 「自分にも描けそう!」という勘違いをしてしまいそうなくらいラフなエンピツ描きの絵に大雑把な彩色が、このガブリエル・バンサンの特徴です。しかし良く見れば、正確なデッサン力と見事な視点の表現力だと分かります。画面の寄りと引き、全体の構図のセンスはとても素人が真似できるものではありません。


のら犬ウィリー

作・絵:マーク・シーモント 訳:みはら いずみ


 コルデコット賞作家シーモントが、友人から聞いた実話を元につくりあげた、「読み聞かせ」にぴったりの、心あたたまる傑作絵本!(あすなろ書房)


 あざとくて泣ける話ですが、虚構ではなく実話です。こういう本当の動物好きの人々の逸話はいつも海外からです。日本人はもっとゆったりした心で生きられる社会を目指すべきなのではないかと思いますが、好んで忙しなさを求めるのは、日本人の性格もあるのでしょう。


ラクダのこぶはなぜできた?

作:ラドヤード・キップリング 絵:リスベート・ツヴェルガー 訳:宮内悠介


 この世がまだできたてのほやほやの頃、動物達は人間の仕事を手伝っているのに、ぶらぶらしているばかりのひどい怠け者のラクダがいた。そこに精霊のジンが現われて…。(ノルドズッド・ジャパン)


 所有しているリスベート・ツヴェルガーの絵本の中では最も地味な一冊のような気がします。彼女の名前と挿絵で買ったようなもので、残念ながらお話はイマイチです。


https://yokogy.cookpad-blog.jp/articles/448528

 この「絵本の蔵書」シリーズは以前書いていた記事です。すでに全冊紹介し終えて、上記インデックスにまとめてあります。

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