

アニメを基に監督の加藤久仁生と脚本の平田研也が絵本にしました。
水に沈みかけた街で孤独に暮らす老人。彼の家は水面が上昇する度に上へ上へと、積み木を重ねるように伸びていく。彼はなぜひとりで暮らしているのか、徐々に解き明かされる物語。数々の賞に輝く、淡く切ない物語です。
主な受賞歴:米国アカデミー賞短編アニメーション賞、アヌシー国際アニメーション映画祭アヌシー・クリスタル賞(最高賞)、広島国際アニメーションフェスティバル広島賞、観客賞、他多数受賞(C) 2008 ROBOT

月光公園 the moon park
文:宙野素子 絵:東逸子
夜主人公の少年がふと目覚めると、そこには「月光公園への招待券」が・・・。どこからか聞こえる声を手がかりに行くと、そこは何度も来ている公園なのです。でも、何かが違う・・・公園で繰り広げられる不思議な世界。夜空には大きな月、そして、月の中から現れた少女。それは、少年の夢なのか・・・それとも現実なのか???(MIKIHOUSE)
お話よりも絵の魅力が勝ってしまう東逸子の絵本。
東逸子の絵は最高ですが、あまり冴えない夢オチ。絵を見せる為だけに作られたような絵本。大人や子供が読んで何かを考えさせる教育的要素がない本に、絵本としての価値はあまりないです。

魔女になりたかった妖精
作:ブリジット・ミンヌ 絵:カルル・クヌート
訳:目黒 実 ブロンズ新社
妖精のローズマリーが、 どうしてもなりたいもの……それは魔女!「上品でお行儀よく暮らす魔女なんて、まっぴらだわ!」 これは、子供を育てる親が読んでおくべき本なのだろうと思います。
子供の個性は親とは違います。子供の多様性を否定しない。基本的なマナーや社会性は教育するべきですが、しかし自分たちの価値観を子供に押し付けないこと。多くの親はこれと逆のことをします。マナーや社会性を教えられず、自分の価値観を押し付けるので、ろくな人間が育たない。


ロバのシルベスターとまほうの小石
作・絵:ウィリアム・スタイグ 訳:せた ていじ
コールデコット賞受賞作品(評論社)
コミカルな絵からは想像もできないほどドラマチックで泣ける物語です。私はこれを読んで『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を思い出しました。あるいは『鋼の錬金術師』かも知れません。内容を知りたい方はお読みください。

動物げきじょう-21幕
作・絵 アリス&マーティン・プロベンセン
訳 乾侑美子 (童話館出版)
草原の動物、森の動物、家のまわりの動物、鳥や魚・・・いろいろな動物のお話の開演です。
『とこや』夏の暑い日、ライオンは考えます。「たてがみが、あつくてこまる」。そこでライオンは立派なたてがみを切ってもらおうと、とこやへ行くことにしました。更にライオンは、もう少し切ってくれ、と注文を出します。とこやは“ちょきちょき”、ライオンは“うとうと”。ライオンが目を覚ましたとき・・・「おれのたてがみを どこへやった!」。
この劇場では全部で21幕が上演されます。
イソップ寓話のような動物にまつわる小話がたくさん。ほぼB4サイズのとても大きな絵本です。子供のプレゼントにうってつけの絵本かも知れません。

この「絵本の蔵書」シリーズは以前書いていた記事です。すでに全冊紹介し終えて、上記インデックスにまとめてあります。