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人生を愛せ。愛する人生を生きろ。

星の王子さま サン=テクジュペリ

2021/07/04 10:00 テーブルウェア イベント 子ども 趣味 くらし

星の王子さま サン=テクジュペリ 作(オリジナル版)内藤濯 訳 岩波書店



 レオン・ウェルトに


 わたしは、この本を、あるおとなの人にささげたが、子どもたちには、すまないと思う。でも、それには、ちゃんとした言いわけがある。そのおとなの人は、わたしにとって、第一の親友だからである。もう一つ、言いわけがある。そのおとなの人は、子どもの本でも、なんでも、わかる人だからである。いや、もう一つ言いわけがある。そのおとなの人は、いまフランスに住んでいて、ひもじい思いや、寒い思いをしている人だからである。どうしてもなぐさめなければならない人だからである。こんな言いわけをしても、まだ、たりないなら、そのおとなの人は、むかし、いちどは子どもだったのだから、わたしは、その子どもに、この本をささげたいと思う。おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)そこで、わたしは、わたしの献辞を、こう書きあらためる。


 子どもだったころの レオン・ウェルトに

 オリジナル版とは作者がチェックした挿絵ということだそうです。

 10年ほど前に買って一度読んだはずですが、その時、なぜ世界的に人気があるのか全く理由が分かりませんでした。寓話的なものはとても好きなはずなのに、まるで心に残りませんでした。でもこの本を好きな人は多いので、何か得られるものはあるのか、再読してみることにしました。

 親の本棚に入っていたのですっかり忘れていましたが、「絵本の蔵書」に入れれば良かった。良く見れば、これも立派な❝絵本❞でした。

 とりあえず「献辞」の言葉がとてもいい。気に入りました。


 この本に書いてあることを難しいと感じるのは、自分が大人寄りの人間だからなのでしょうか。今回良く考えながら読んでいて、この本が言おうとしていることは、童心を忘れないこと、なんでも大人の道理で物事を決めつけないこと、そんな話であるように思いました。

 子供の心を持ち続けることは、なんだか大変な気がしてきました。


 上辺ばかり気にする大人の虚飾、見栄っ張り、おべっか…

 これは私も大嫌いなものです。でもそういうことをやっている人の方が、大人社会では信用されるものらしい。ありのままのことを大っぴらに言ったり、本音で語るような人間は嫌われてしまうのが大人の社会。確かにそう。

「星の王子さま」というのはそんな話でしたっけ?

 旅に出た王子さまは、小さな星々で可笑しな住人たちに次々出会っては、彼ら大人の無意味な行動に頭を傾げる。これはもしかすると、保守的な人生観を見つめ直し、自由な考え方や生き方をしようってことかも知れない。

 たぶん前回読んだ時と同じように、物語としてはそれほど琴線には触れてこないのですが、星の王子さまの自由気ままさは自分の考えと近いような気はして来ました。たしかにこういう人は大人社会では1人浮いて孤独に陥りやすいものでしょうね。そうしてみると、大人社会に生きながらも王子さまの心に自己投影できた語り手のパイロットこそが自分に近いのかも知れない。

 しかし汚れた精神で生きてきた自分は、そのパイロット(作者)のような気持ちにはなれないと思いました。だから最初に読んだ時、きちんと共感が得られず、お話も忘れ去ってしまっていたのでしょう。

 地理学っていうものは、あらゆる本の中でも、一ばんだいじなことが書いてある。流行おくれになることなんか、けっしてない。山が場所をかえることもめったにないことだし、大海の水が、からになることも、めったにないことだ。わしたちは、いつまでもかわらないこと書くんだよ(地理学者)

 地理学者も保守的な大人の1人として描かれています。つまり逆説的に人は変わらなければいけないと書いてある。

 何より大切なものは、自由闊達で純真な子供のままの心。最初の「献辞」の言葉はそういう意味かも知れません。果たして自分はもう子供の心を忘れてしまって二度と思い出すことはできないのだろうか…

 これでも、ずっと子供の正義感を持ち続けたいと願っていたのですが、もうそうではないのかも知れない。愚かな大人の1人になっているのかも…


 そう言えば以下に丁度良い見本がありました(笑)。こういうのが「星の王子さま」かなと。正しいかどうか分かりません。どうでしょう。

 トランプ氏のツイートにグレタさんは皮肉で応じ、ツイッターの自己紹介欄を「怒りの制御に取り組む10代」と書き換えた。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20191213-OYT1T50161/

 他人の意見を公平に受容れなさそうに見える彼女は、確かに子供っぽい強情さで理想論を押し付けようとしている。しかし、だからと言って何も変えようとせずに問題を先送りするだけの大人たちは無様です。「できない」のではなく「やらない」。これは私自身への自戒でもあります。

 そしてこの二人は世代と主張はかけ離れていますが、意外と性格的に似たところがあるのではないかと思ったりしました。


 グレタさんの憤りに対し「もっと現実的に考えろ」と言う人の頭はとっくに年寄りです。老化し干からびて固まった脳味噌だと自覚しましょう。無理はダメだが無茶はアリなのです。無茶しないのは成長の止まった大人だけです。


 七ばんめの星は、地球でした。地球は、そうやたらにある星とはちがいます。そこには、百十一人の王さま(もちろん、黒人の王さまもいれて)、七千人の地理学者と、九十万人の実業屋と、七百五十万人の呑んだくれと、三億一千一百万人のうぬぼれ、つまり、かれこれ二十億人のおとながすんでいるわけです。

 そして「星の王子さま」の再読を終わりましたが、やっぱり何だか分ったような分からないようなモヤモヤした気分です。

 きつね「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」(きつねどんべいさんとは別のきつねさんです)

 メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」の途中でしたが、暗い話で気分が滅入るので気晴らしに読んでみました。そういうわけで「フランケンシュタイン」の読書に戻ります。


 出版から50年以上経って著作権の切れた本が読める以下のサイトでは「星の王子さま」を読むことができます。ただし訳者と邦題が異なります。

https://www.satokazzz.com/books/

 著者・翻訳者別 50音順>さ>サン=テクジュペリ アントワーヌ・ド>あのときの王子くん(星の王子さま)……[えあ草紙で読む]を押すと本文が開きます。全ての挿絵入りで読めます。


 読書歴で書いたように、メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」もここで読めます。著者・翻訳者別 50音順>し>シェリー メアリー・ウォルストンクラフト>フランケンシュタイン。残酷な物語ですが、名作全集に入れたくなる作品のような気がしてきました。かなり面白いです。

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