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ニューロマンサー ウィリアム・ギブスン(1984年)

2021/08/07 23:13 イベント 趣味 くらし

 ニューロマンサー ウィリアム・ギブスン ハヤカワ文庫SF

 1984年に出版されたウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』は、興味を持たない人にとっては何の意味もないSF小説ですが、今現在のインターネットとフィクションで描かれるサイバースペースのイメージを、40年前の1980年代に想像だけで生み出した予見と才能は驚くべきものです。そしてこれがサイバーパンクSFと呼ばれました。

 世界中に影響を与えた為、今では様々なものを連想させますが、30年近く経って再読した結果、『ニューロマンサー』は、漫画やアニメをほとんど観て来た『攻殻機動隊』そのものと言っても過言ではありませんでした。

 ストーリーや世界観は全くの別物であるにも関わらず、ほとんど同じ作品のようにさえ感じます。それくらい、広範囲にわたって多くの要素が模倣されていたと思いました。

 昔読んだ時は、なんとなく格好良いキャラクターや描写だと思っていた世界観が、『攻殻機動隊』やその他影響を受けた作品群によって、具体的で明確なイメージとして読み進めることができました。今回読み直しても、決して読みやすい小説ではないと思いましたが、それでも最初に読んだ時よりも十二分に楽しく読書できました。

 ケイスは電脳空間(サイバースペース)におけるそこそこ才能のあるハッカーだったが、雇い主の信頼を裏切った為に、電脳への接続をできない体にされてしまう。それから数年後のある日、謎の女(モリイ)に追われ、新たな雇い主からの伝言を受け取る。電脳に再び接続できる体に戻して貰える代わり、危険な仕事を請け負うように…

 一番有名なオマージュとしては、モリイ(ニューロマンサー)>草薙素子(攻殻機動隊)>トリニティー(マトリックス)です。

 悪いけど、実写映画化された『ゴースト・イン・ザ・シェル(攻殻機動隊)』のミラ・キリアン少佐(草薙素子):スカーレット・ヨハンソンは、単なる劣化コピーです。もしもスカーレット・ヨハンソンがトリニティーの格好をすれば、『ニューロマンサー』のモリイに近かった気がする。

 この映画化はどこかが決定的に間違っていたと思います。そして未だに『ニューロマンサー』の映画化は実現していません。個人的には『ブレードランナー』の続編を最高の形で作り上げたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にやって欲しいけどなあ…

 まだこの三部作の残り二作も再読するかは決めていません。でも最後はモリイが主役になっているはずなので、世界観がしっかり頭の中に構築できている今再読するのがベストのような気はする。とは言え続けてあと二作読むのは集中力に自信がないし、それより何よりどちらも廃刊の上に中古本が高い…


 もう少し解説を付け加えると、『攻殻機動隊』における❝人形使い❞のエピソードは明らかに『ニューロマンサー』のストーリーから着想されたものです。

 また、主人公ケイスのハッカーとしての師匠ディクシー・フラットライン(またはマコイ・ポーリー)は❝構造物❞として登場していますが、この❝構造物❞とは、本人が亡くなった後、その人格がROMに残された擬似人格です。ディクシーはケイスに「この仕事が終わったら消してくれ」と頼みます。つまり、肉体が亡くなっているのに人格だけ生かされているのは嫌だと。

 人工知能のAIやROM構造物(擬似人格)の表現など、こういったものも『攻殻機動隊』の中では別の形に置き換えられて使われています。両方を読んだり観たりすれば分かります。まあ、そんなものに興味を持つのは私のような変人くらいでしょうけれども…

 映画『マトリックス』のオマージュは分かりにくいかも知れませんが、『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューションズ』までの三部作をきちんと理解できれば、これが本書から多大な影響を受けた作品であることが分かるはず。マシンたちは電脳世界のAIと同じ存在です。

『ニューロマンサー』の最後の舞台となる自由界(フリーサイド)は、地球軌道上にあるスペースコロニーのことで、その街中の描写を読んでいると、初代ガンダムのオープニングに登場したコロニーの風景を連想させます。ただし、大きさはずっと小さいと思われます。

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